─『中庸』編─
中井履軒の著『中庸逢原』(ちゅうようほうげん)は、朱子の『中庸章句』をもとにした『中庸』の注釈書です。ただし、履軒は、朱子の章句にそのまま従って注釈を施しているわけではありません。また、朱子の解釈への批判だけではなく、経文の字句や配列そのものにも大きな修正を加えています。
もともと「中庸」とは、『礼記』中庸篇のことを言います。朱子学では、この篇に特に注目し、『礼記』から独立させて一書としたのです。その際、朱子は『礼記』中庸篇の経文配列を一部改編したり、誤脱があるとして経文を改訂したりしています。
懐徳堂では、朱子の経文配列をもとに、「中庸」には錯簡(文章がまちがって前後している)があるとして、「中庸錯簡説」を唱えました。そして、それをもとに、『中庸懐徳堂定本』を作成しています。履軒は、この『中庸懐徳堂定本』に記された配列案を受け継ぎつつ、章立ての見直しや語句の修正など、独自の考えを展開しました。
このコンテンツでは、このような履軒の『中庸』研究の姿勢が分かるように工夫を加えました。履軒が提唱した章立てと、『中庸章句』や『中庸懐徳堂定本』との異同が一目で分かるよう、章立てを一覧にした「対照表」を付しています。また、履軒が『中庸章句』をどのように修訂したのかが分かるよう、『中庸章句』と『中庸逢原』、それぞれの経文を対照して見ることができるようにもなっています。
使い方
『中庸』対照ツール
対照表
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